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機械学習とは?
機械学習とは、コンピュータが理解可能な形でデータや値を入力することで、コンピューターが何かしらの評価・判定を下し、値などの結果を出力するものであり、機械学習やAIにおいて根幹を担う頭脳のようなものです。 分かりやすいように言い換えると、機械学習とは、コンピューターに膨大なデータを学習させることで、精度の高い予測・判断を実現する手法とも言えます。
本記事では、初学者向けの機械学習の学習方法と学習すべき知識・スキル、これらを活かせる目指すべき職業について解説しています。
機械学習そのものや仕組み・モデルの種類等を幅広く学びたい人は、こちらの教師データは?分類?回帰?機械学習のあらゆるモデルを詳細解説の記事をご覧ください。
AIと機械学習、更にはディープラーニングの違いを、そもそも理解しているか怪しい・自信がないという人は、まずはAIと機械学習とディープラーニングの違いと関係性とは?~AIの歴史から学ぶ~の記事に軽く目を通すことをオススメします。
機械学習に求められる知識やスキル
機械学習を習得する上で、まずは求められる知識やスキルを把握するところから始めなければなりません。当たり前ですが、これらを正確に把握しないと努力するベクトル (方向) がずれ、非効率な学習となってしまうからです。そのためにも、まずは「どのような」知識やスキルが「どのくらい」求められるのかということは、できる限り情報収集しておきましょう。
この辺で本題に戻って、機械学習を扱う上で必要な知識・スキルの種類は、以下のようなものがあります。
- PythonやR、C言語などのプログラミング力
一から何も見ずに書けなくても、調べながらある程度読める程度にはつけておきたい - 数学の知識
最低限高校数学の知識は欲しい。できれば、大学1,2年レベルの「線形代数」・「微積分」・「確率統計」は理解しておきたい - アルゴリズムの知識
- データベースとSQLの知識
個人的には、機械学習を学んでいくうえで数学の知識は真っ先に付けた方がいいと思います。理由は2つあります。
第一の理由としては、数学力は一朝一夕で身につくものではなく、他の知識やスキルよりもはるかに時間がかかるという理由です。
数式の意味や仕組みから理解しないと、応用が利かず新しいモデルや柔軟なモデルを構築することができないと考えられます。つまり、与えられたモデルをテンプレ的に実装することしかできず、それ以上の高度な処理ができず、いずれ機械学習エンジニアとしての頭打ちが来てしまう可能性が高いでしょう。
第二の理由としては、データ整形・加工、モデル構築に理解が必要な仕組みだからです。
「線形代数」は行列やデータフレームを扱うために必要であり、主成分分析などの固有値が絡むような分析手法の仕組み理解には必須ですし、「微積分」は、微分と積分のそれぞれの仕組み (定義) 理解程度でいいとは思いますが、微小区間の極限の仕組みを理解していないと、予測モデル構築の際に必要となる”離散化”と離散化した微小区間を数値解析的に用いる微分方程式の立式ができません。
また、「確率統計」は最も本質的に差が付くと個人的には非常に強く思っています。なぜなら、あるデータの本質的な差異の有無を見ようとすると検定が必要となってきますし、未知の将来について解析しようとすると回帰や推定が必要となってきます。あるいは、仮説を立てて現実問題を仮想的にシミュレーションするのであれば、確率分布や乱数生成の知識も必要となってくるからです。
これらは単体で理解できるものではなく、あらゆる分野が共鳴しあっているため、初歩的な箇所で躓いている場合、学習しなければならない範囲が膨大となる恐れもあります。そのため、数学に自信がない人・苦手意識を持っている人は少しづつでいいので、今すぐに勉強にとりかかることをおすすめします。
機械学習入門者が目指すべきゴールの職業
機械学習を活かしたおすすめの仕事は、以下の4つです。特に上2つは、機械学習を主たる業務の一つとする職業の中で主要な職業となります。
- 機械学習エンジニア
- データサイエンティスト
- プロダクトマネージャー
- 機械学習コンサルタント
では次に、これら4種類の職業について順番に解説していきます。
機械学習エンジニア
「機械学習エンジニア」とは、多くのデータを学習させて作る機械学習モデルを構築するエンジニアのことを指し、ときには「AIエンジニア」や「ML (Machine Learning) エンジニア」とも呼ばれたりすることもあります。
機械学習エンジニアは、AI開発や機械学習関連プロジェクトの中心的な存在として指揮を執り、機械学習の技術を活用したシステムを開発することがお仕事となります。少しだけ抽象度を下げて説明すると、機械学習の技術を活かして、アルゴリズムを作成、新サービスの開発や現サービスへの結びつけを行います。その際、モデル精度を向上させる必要もあるため、学習させるデータの数を増やすだけでなく、アルゴリズムやデータの形式を工夫する (特徴量エンジニアリング) 力が必要です。データセットとWebアプリの連結やコーディングを行うと共に、プロジェクト全体の進捗管理まで行うため、単純なIT技術だけでなくPM (プロジェクトマネージャー) としてのスキルも求められるでしょう。
DXを利用した業務革新が普及しつつある昨今では特に注目されている職業で、業務効率化のために機械学習の技術を取り入れる企業は次第に増えつつあり、今後ますます需要が拡大していく見込みが非常に高い分野といえます。
また、新規性が高い分野で機械学習エンジニア自体が少ないため、高単価な求人が多いのも魅力のひとつです。
機械学習エンジニアに必要なスキルとして、おおよそ以下のようなものが求められます。
- Linux(リナックス/コンピューターOS)
- Python(プログラミング言語)
- 機械学習ライブラリ
- 開発環境を構築するスキル(Jupyter NotebookとAnaconda)
- データベース知識
- クラウド知識
いずれも初学者が目にするとアレルギーを起こしてしまいそうな言葉でしょう。このように、機械学習エンジニアには非常に高度なスキルが要求されており、機械学習エンジニアの専門性・特殊性の高さがうかがえます。
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、AI・機械学習などを駆使して蓄積した膨大かつ複雑なデータを収集・分析した結果をビジネスに活用することで、依頼者の抱える課題を解決する職業です。IT化が進んだ現代社会において、さまざまな業界の企業で大量のデータが溢れかえっている中、ビッグデータを扱えるデータサイエンティストの需要はますます高まっています。
データサイエンティストの仕事は、データをもとに企業にアドバイスすることが多いため、AIに関する知識・技術はもちろん、経営や戦略に関する知識も必要になってくる職業です。また、知識の広さだけでなく、スキルの専門性も求められる仕事のため平均年収も比較的高く、年収1000万円を超えるスペシャリストもいます。
アメリカでは人気職業ランキングで堂々と一位を獲得したことがあるほど人気が高い花形の職業であり、21世紀で最もセクシーな仕事とも言われています。
特にデータサイエンティストの活躍が目立つのは、Amazonや楽天などのECサイトやソーシャルゲームなどのサービスを展開するWeb系の企業です。
しかし、昨今では、Web系の企業以外でもデータサイエンスが活用されています。例えば、農業においては、気温や湿度、収穫量などのデータを蓄積し、分析することで効率の良い栽培に生かす例 (AgriTech) もあります。その他にも、金融とデータサイエンスの融合はFinTech、保険とデータサイエンスの融合はInsTechなどと呼ばれていたりします。
また、小売店では、売上や来店者数の予測、在庫量の最適化などの分野でデータサイエンティストが活躍しています。
このように、「データサイエンティスト」の仕事は分野も業務内容も幅広く、データの活用・分析による企業の課題解決から、データ収集・活用するための環境構築や運用・保守まで様々です。
ゆえに、機械学習の知識やスキルはもちろんのこと、その他にも求められる知識やスキルは多岐に渡ります。具体的には、主には以下のような知識・スキルが挙げられます。
- 統計学や数学に関するスキル
- ビッグデータに関する知識
- プログラミングの知識(主にPython)
- データベースの知識
- セキュリティなどのIT全般の知識
- コミュニケーションスキル
AIや機械学習を使いこなすにあたっては数学・統計学の知識は必須の他、ビッグデータを扱うためのスキルやPythonの知識まで多岐に渡り、非常に専門性の高い職種であることが見て取れます。
プロダクトマネージャー
「プロダクトマネージャー (PM) 」は、企業が開発する製品を決めるうえでの全体的なかじ取りを行うお仕事です。顧客のニーズに合った製品を企画・提案するうえで、調査・分析のために機械学習を直接活用することもあります。
機械学習の知識・スキルに加えて、マーケティングや指揮官としてのプロジェクト管理のスキルも要求されるので、難易度が高く、大幅な収入アップも見込める仕事です。機械学習エンジニアからのキャリアアップの延長線として目指すのが合理的です。
機械学習コンサルタント
「機械学習コンサルタント」は、企業向けに機械学習システムの提案やその導入支援を行うお仕事です。企業の課題を解決できる適切なシステムを提案するにあたって、機械学習の知識やスキルは必要不可欠です。
比較的最近誕生した職業なので、求人はあまりありませんが、コンサル・提案といった上流工程のスキルも求められるため、高単価・高収入も狙える仕事です。近年の機械学習の需要増加にともなって、機械学習コンサルタントの需要もいずれ高まっていくと思われます。
機械学習の学習方法
この章では、機械学習を学ぶ手段について複数説明します。
書籍を使って学ぶ
機械学習の教本も、巷にたくさん出版されています。
書籍での学習は、必要な知識が分野別や難易度別に体系的に網羅されているため、1冊だけでも幅広い知識を習得できるのがメリットです。また、そのように知識が体系的に集約されているので、辞書のように使うことができ、後から必要な情報とその周辺の関連情報を取得しやすいのもメリットとして挙げられます。
Webサイトを使って学ぶ
機械学習についてオンラインで学べるサイトも複数あります。スマートフォンでも利用できるので、通勤などの合間でも学習しやすいのがメリット。
大きく分けるとブログ記事等のテキストベース、Youtubeなどの動画ベースの2種類ありますが、自分の学習スタイルに合ったものを選ぶと良いでしょう。
セミナーに参加する
機械学習を学ぶ方法として、セミナーに参加することも一つの手です。セミナーに参加するメリットとしては、
- 無料で受講できるものもある
- 自分のレベルにちょうど合った難易度の学習が容易にできる
- つまずきが一気に解決する
- 生徒同士の横の繋がりができる
などが挙げられます。
プログラミングスクールで学ぶ
プログラミングスクールは数万円〜数十万円のお金がかかりますが、最短でPythonを学習することができます。実は、Pythonは機械学習を始めるうえで最もおすすめのプログラミング言語です。これについては、次の章に説明を預けます。また、学習につまずいたときに講師が直接指導してくれるため挫折しにくいです。
機械学習をするならPythonが最適
前述したように、機械学習のプログラミングで使われるプログラミング言語にはRやMatlabなど様々なものがありますが、特に機械学習初心者にオススメなのが「Python」です。ここからは、機械学習を実装するならPythonがおすすめな理由を解説していきます。
Pythonは情報が多い
おすすめする一番の理由は、Pythonに関する情報量の多さにあります。人口も多くメジャーな言語ですので、知りたい情報が手に入りやすいです。
プログラミング言語を学習する上で、インターネットで検索したり書籍を読むことを避けては通れません。セミナーやスクールも有効ですが、それだけではほぼ絶対足りません。一人の時間での学習も積極的に時間を見つけて進めていく必要があるでしょう。
ゆえに、わからないことがあれば調べればすぐに出てくる、新しい知識や発見の機会が多いという環境はとても重要です。
初心者にもわかりやすいシンプルな文法
プログラミング言語を学習する上で障害になりがちなのが、複雑なコードであったり書き手の「クセ」や「流派」があったりして書き方が統一されておらず、読みにくく理解しにくいという点がしばしば挙げられます。特に初心者の場合は、書き方がわからなかったり、煩雑なコードになりがちです。
しかし、Pythonはコーディングする際の暗黙のルールが広く共有されており、 書き手の「クセ」や「流派」は他の言語に比べて少なく抑えられています。また、実装するのに必要なコード量が少ないがゆえに読みやすいコードを記述することができるというのもメリットです。
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